2017/10/05
スウェーデン・アカデミーは10月5日、2017年のノーベル文学賞を、日本生まれで英国籍の作家、カズオ・イシグロ(石黒一雄)さん(62)に授与すると発表した。これを報じた読売新聞(10/6)によれば、授賞理由は「感情に強く訴える小説で、世界とつながっているという我々の幻想の下に隠された闇を明るみに出した」。賞金は900万スウェーデン・クローナ(約1億2500万円)。授賞式は12月10日、ストックホルムで行われる。
イシグロさんは長崎市生まれ。長崎海洋気象台に勤めていた研究者の父親が英国の研究所に赴任するのに伴い、5歳で渡英。1983年に英国籍を取得した。ケント大学で英文学や哲学、イーストアングリア大学で文芸創作を学んだ。作品は英語で執筆。英国で暮らす日本人女性を主人公に故郷を思う気持ちや時間の移ろいを主題にした初の長編「遠い山なみの光」(1982年)で注目を浴びた。英国貴族の執事を描き、大国の栄光と没落、戦争の問題をつづった「日の名残り」(1989年)で英国の権威あるブッカー賞を受賞し、国際的な評価を高めた。